道徳1年「はしのうえの おおかみ」    戻る    トップへ
1年道徳「はしのうえの おおかみ」実践記録
                                2004年 4月24日(土)
                                        徳田 洋広

【ホームページの日記より】

「副読本」を使っての「道徳授業」
 いつもやる手だが、読み聞かせをしながら途中でストップをかけ、ストップをかけた場面について話し合うやり方で行う。
 
 資料名は「はしのうえのおおかみ」(学研)。
 テーマは「やさしさ」で扱う。
 
 ある場所に丸太の一本橋があった。
 一本橋だから、二人同時には渡ることはできない。
 そんな一本橋の上で、きつねとうさぎが出会う。
 
 おおかみはうさぎに言う。
 「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。」
 おおかみはいじわるそうな・こわい顔をうさぎに向けながら言っている。

 この顔を指しながら、子どもたちに問う。

【発問  きつねは、うさぎに何と言っているでしょう。】

 子どもたちから出た意見は、次の通り。

 ・ どけどけ俺が通るんだ。
 ・ もどれ、もどれ、俺が先に通るんだ。
 ・ どかんか、うさぎ!

 この意見を、「そのときおおかみが言った通りの言い方で言いなさい。こわい言い方で言いなさい。」と指示して言わせる。

  きつねが言った言葉は次の通り。

 「こら こら、おれが さきに わたるんだ。
  もどれ、もどれ。」

 こわい顔で、どなり立てながら、おおかみはうさぎに言う。
 うさぎはびっくりして、すごすごともどっていく。

 それから、おおかみはちょうしにのり、大いばりである。きつねやらたぬきやら通る動物通る動物に通せん坊をやっていく。
 そこで問う。

【発問  このおおかみをどう思いますか。また、このおおかみに言ってやると      すると、どういう ことを言ってやりたいですか。】

 子どもたちからは、「ひどいやつだ」「いじわるなおおかみだ」「ちょうしにのるな」などの意見が出される。
 このときも、「自分の意見をぶつけるつもりでおおかみに言ってあげなさい」と指示して言わせる。

 ところがある日、おおかみは今までとは違う動物に出会う。くまである。
 自分よりも数倍でかい体と迫力におおかみは圧倒されてしまう。
 この、くまと出会ったときのおおかみの顔を指して言う。

【発問  このおおかみの顔を見て、気づくことはありませんか。】

 子どもたちからは、「びびっている」「びっくりしている」「おどろいている」
などの意見が出される。
 おおかみは本当に大慌てである。くまにおじぎをするぐらいである。
 そこで問う。
 
【発問  この後、どうなったと思いますか。】

 ・ おおかみの方が通してあげた。
 ・ くまがおおかみをこらしめた。
 
などの意見が出された。
 そこで、「実はね、こうなったんですよ・・・。」と言って、次のページをめくる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 おおかみは あわてて、おじぎをしていいました。
 「わたしがもどります。くまさん。
  どうぞ、おさきに。」
 すると、くまは手をふりました。
 「いや、いいんだ。こうすればいいのさ。」
 くまは おおかみをだきあげると、うしろにそっとおろしてやりました。
 おおかみは はしのうえにたって、くまのうしろすがたを いつまでも
見ていました。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 ここを読み上げたとたん、子どもたちから「うわあ〜、やさしい〜。」の声がもれる。
 そこで問う。

【発問  このくまさんのどう思いますか。】

 子どもたちからは、くまさんの「やさしさ」に触れる感想が多く出された。
 
 その後、私がくまさん役。子どもたちがおおかみ役になってこの場面を
役割演技する。次の通りである。

  子ども:「わたしがもどります。くまさん。どうぞおさきに。」
  教 師:「いや、いいんだ。こうすればいいのさ。」

 * 子どもをおんぶして橋の向こうまで送り届けてやる演技をする。
  (このおんぶを子どもたちは大変喜んだ。「うわあ、あったかあい。気    持ちいい。」など言って。私のおんぶを通して、くまさんの「あったかさ」を間接的に感じてくれたかもしれない。

 「『そっとおろしてやる』ところも本当にやさしいね」と子どもたち言いながら次におおかみのことも問う。

【発問  くまのうしろ姿を見送る、おおかみの顔を見て気づくことはありません     か。】

 子どもたちから出た意見は次の通り。

 ・ 感激している。
 ・ 感動している。
 ・ 目がうるうるしている。
 ・ 涙目になっている。

【この後、どうなったでしょう。】と言いながら、続きを読む。
 続きは次の通り。

 おおかみは、はしのうえで うさぎにあいました。
 うさぎは、あわててもどろうとします。おおかみは、やさしく よびとめ
ました。
 「いいんだ、いいんだ、うさぎくん。ほら、こうすればいいのさ。」
 おおかみは うさぎをだきあげ、うしろにそっとおろしてやりました。

 話を最後まで読み上げて、子どもたちに問うた。

【発問  おおかみは、前と比べて変わりましたか。】

 この問いに全員が「変わった」と答えた。
【どんなおおかみさんに変わりましたか】の問いに、

 : いじわるだったけど、やさしくなった。
 ・ 成長した。
 ・ 人にやさしくできるようになった。
 ・ 心が変わった。うんと心が成長した。

などの意見が出された。
 そして、すぐに聞いた。

【発問  おおかみさんをこう変えたのは、何だったんでしょう。】

 この問いに、全員が「くまさん」と答える。
 そこで、「くまさんのどんなことが?」と聞くと、

 ・ くまさんの心
 ・ くまさんのやさしさ
 ・ くまさんが親切にしてくれたところ

などの答えが返ってきた。
 
 子どもたちに最後に聞いた。

【発問  みんなは、おおかみさんみたいになりたいですか。それとも、くまさん    のみたいになり たいですか。どちらになりたいですか。】

この問いに、全員が「くまさん」に挙手した。

(追)
 この後、実はあと二つ発問した。
 次のもの。

【発問  徳田先生にもくまさんみたいなところはありますか。】
  全員が「ある」と返答。
 「どういうところが?」と聞くと、、「サービスしてくれる」「お勉強を教え てくれる」「いろいろ教えてくれる」などが出された。

【発問  みんなはくまさんのようになりたいと言ったけど、おおかみさんのよう     なところが今までになかったかな?】
 一人の子が挙手。
「自分が先にあることをしようとしてけんかになったところ」と答えた。